【まめ知識】焼麸

麸は、世界に類がない食品であること、ご存知ですか?知っていそうで知らなかった焼麸の豆知識です。

焼麸について

歴史

古くから、ヨーロッパにはチーズのような動物性タンパク質食品があり、日本には麸・豆腐・湯葉のような植物性タンパク質食品が存在していました。これは、東西の民族性及び食生活の原点の相違を改めて考えさせられる非常に興味深い現象です。
麸の高い栄養価は、農産乾物の四天王(麸・湯葉・凍豆腐・干椎茸)といわれ、昔から重要な蛋白源として扱われました。また、焼麸の保存性に優れている点も今日に至るまで日本人に愛好されている重要なポイントです。

麸には、大別して、焼麸と生麸があり、以下のような定義で区別しています。

・焼麸は、焼いて乾燥したもの :グルテン+強力粉+水
・生麸は、茹でて水分の多いもの:グルテン+もち粉+水

焼麸は、世界に類の無い日本独特の食品です。天平時代に遣唐使により、どちらかというと現在の生麸に近い「麸」の分類の原型が中国から伝えられたものとされています。これが、長い間を経て「生麸」の形で日本の食生活に適応する形態に変化していきました。

そして、江戸時代に入り、その変化の大きな分岐点に差し掛かった時に誕生したのが焼麸です。それまでは茹でて加工していた為に水分が多くて日持ちがしなかったのですが、焼き上げて余分な水分を飛ばすことで、保存性を高めるという画期的な変化を遂げました。(今日のインスタント食品の祖先にも当たりそうです。)

焼く、という従来と違う製法で誕生した焼麸は、焼き方や細工の仕方でバリエーション豊富に成長していきました。現在よく知られている焼麸の種類の数々は、全国各地で誕生した特色が生きたものが大変多く残っています。この特色の傾向としては、北に行くほど堅く重いもので、南に行くほど軽く柔らかいもの、というのが見受けられます。

種類と見分け方

市販されている焼麸は、その焼成加工方法の違いによって、3種類(ガスにて直火・電熱オーブン・型に入れる)に分けることができます。

① 直火で焼成

[カサが無く目方の重いもの]
ガスの直火で焼くため、表皮の焼色が強く、こげ茶色で艶が無い。
特徴は、生地を棒に巻きつけて、回転させながら焼く。肉厚が薄くても中心が棒を抜いた後のドーナツ状の空洞がある。

【例】

・車麸:北陸・新潟地方の雪国の特産。棒に1巻用・3巻用・4巻用があり、1回巻く毎に焼き、バームクーヘン状になる。
・庄内麸:山形・秋田の日本海側が特産。棒に1回巻で焼き、筒状になったもの、また、板状を更に半分に折り込み数ミリにきざみ、松葉状にしたものがある。

② 電熱オーブンで焼成

水を散布するため、表皮は薄く艶があり、焦げ目はキツネ色で、出来上がり品は軽く、一杯に膨張しているので形・大きさに若干の不揃いが生じる。

【例】

・観世麸:径が40±5ミリと大きく、中に渦巻き模様が入っている。全国地域で生産。味噌汁・酢の物・煮物・鍋物・ラーメンなどに使われるかんぜ麸・寒世麸・うず麸は同類である。
・小町麸:白くて、輪切り・斜め切りがあり、径も20±10mmと巾がある。全国地域で生産。味噌汁・酢の物・ラーメンなどに使われる。まる麸・切り麸・おつゆ麸・やき麸は総て小町麸類。
・白玉麸:白くて、球形状のものを指すが、大きさ・細工の仕方で地方での呼び名が違う。例えば、球形状が鶏卵ぐらいを「もち麸」、球形状がビー玉までを「あられ麸」、球形状が米粒から小豆くらいまでを「魚子麸」などである。
・竹輪麸:棒に生地を細く長く1回巻で焼き、径が20~25ミリで穴があるのが特徴。全国地域で生産。煮物・鍋物・ラーメンなどに使われる。
・宝 麸:細工として中に渦巻きを施してあり、径が20~25ミリあるのが特徴。全国地域で生産。味噌汁・酢の物・ラーメンなどに使われる。
・たまご麸:全体的に薄い黄色で、径が20~25ミリ。全国地域で生産。味噌汁・ラーメン・酢の物などに使われる。

③ 型に入れて焼成

型釜に入れて焼くので、型の原型に従ってできあがる。膨張を型で押さえられるので表皮は割合に堅く、切断面は目がつまっていて、焼き色はほとんどない。
サイズは、一般的に、切断巾6ミリ、径は14~20ミリと割と小粒である。全国地 域で生産。茶碗蒸・味噌汁・吸い物・ラーメン・サラダなどに使われる。
【例】紅梅花麸/もみじ麸/梅松竹麸/花麸/星の麸/ハート麸



以上3種類の焼成方法の他に、特需用の焼麸があります。これは、家庭用としての販売はされていませんが、インスタント吸い物の具(かやく)として用いられるもので、「圧縮麸」と呼ばれています。これは、調整された焼麸をさらに特殊加工で5分の1に圧縮したものであり、これに熱湯を注ぐと1分以内に復元する特徴を持っております。

焼麸の一般的特徴

・植物性高蛋白質食品:焼き麸の原料は、良質な強力小麦粉とグルテン(植物性蛋白質)からなり、蛋白質量は、実に30%と非常に高い食品です。
・消化吸収が良い食品:焼き麸は、主原料として小麦タンパク質なので、消化吸収率が良く、幼児食・妊産婦食・病院食・高齢者食等にも最適です。
・保存性が良い食品:昔から、乾物食品として親しまれてきた保存性の高い食品です。
・使いやすい食品:何も手を加えること無くそのまま利用できる簡便な食品です。
・旨味を増す食品:持ち味は淡白ですが、煮物・鍋物・スープ等何でも、その旨味を吸い取り、よりおいしく食べられます。

グルテンの製造工程

1. 強力粉+食塩+水(混合)
2. 練り(ミキサーで1時間)
3. 休止(約1時間練り合わせた生地を休ませる)
4. 洗い(加水を10数回繰り返しグルテンと澱粉を分離する)
5. グルテン
6. 検査
7. 計量
8. 冷凍
9. 梱包出荷

焼麸製造工程図

1.  グルテン解凍(流水または温水で解凍)
2.  切断練り(グルテンと粉の混合)
3.  ねかせ(混合した生地を休ませる)
4.  練り(生地を均一に休ませる)
5.  ねかせ(生地を安定させる)
6.  分割(商品基準重量にサイズをカット)
7.  ねかせ水中(生地を安定させる)
8.  焼成(直火焼き・平釜焼き・型釜焼きがある)
9.  半製品ねかせ(中心部が常温に戻るまで休ませる)
10. 加湿・切断(型釜で焼いたものは一般に加湿する)
11.乾燥(規定水分量に乾燥する)
12.検査(最終水分・形状・kg当たり個数・生目・戻り)
13.選別包装(再度不良品を除去しホッパーに投入)
14.検査(内容量・製造日・個数・欠損・粉末・大小・水分・復元性・菌検査)
15.製品出荷

   

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